集塵機コラム | 小型集塵機のチコーエアーテック株式会社

小型集塵機の誕生と普及の歴史 | 小型集塵機のチコーエアーテック株式会社

作成者: チコーエアーテック|2021.08.31

今では国内外で使われている小型集塵機ですが、その普及は集塵機の歴史の中で比較的最近のことです。本稿では、小型集塵機の誕生と普及の経緯を説明します。

初期の集塵機

かつて、集塵機といえば、工場脇に設置する大型の集塵機であり、その役割は工場内外の環境を改善することでした。

生産現場では、粉塵やガスといった形で様々な有害物質が発生し、現場で働く作業員の健康に悪影響を与えます。多量の粉塵を長時間吸い込めば、体内に蓄積され、呼吸機能の低下などの様々な健康被害が生じます。また、有害物質による影響は工場内にとどまらず、工場から漏出した粉塵やガスは、大気汚染や水質汚濁という形で周辺環境を悪化させます。そのため、作業工程で発生する有害物質は、そのまま工場外に排出することはできず、浄化処理をする必要があります。

このような労働衛生や周辺環境の問題を解決するために、集塵機は使われていましたが、1台の大型集塵機で工場全体を集塵するという方法には、大掛かりな配管工事や基礎工事が必要でした。

集塵機の役割の変化

時代は下り、日本の産業構造はハイテク産業に軸を移します。それに伴って、集塵機の役割も変化していきました。「環境改善」から「品質改善」への変化です。

ハイテク産業の生産工程では、多量の粉塵が発生することはありませんが、少量でも品質に重大な問題が生じます。例えば、液晶パネルの生産では、小さな異物が付着しても、不良品になってしまいます。また、二次電池の生産では、異物の付着はショートの原因となり、最悪の場合は発火事故につながります。そのため、クリーンルームでの生産が一般的ですが、それでも生産工程や搬送工程において異物の発生を避けることはできません。

このように品質管理の観点から、集塵機は生産工程に不可欠な存在となりました。

局所集塵という考え方

しかし、品質改善という役割に対して、従来の「全体集塵」は適していません。というのも、全体集塵は工場全体を1台の大型集塵機で集塵する方法であり、大型集塵機から配管を張り巡らし、異なる工程で発生する異物を集塵します。そのため、集塵箇所ごとに配管の経路や長さ、果ては口径まで異なり、集塵能力は一定になりません。また、設置前に集塵能力のテストを行うことも難しく、設置後に異物を十分に捕集できないという事態も発生しました。

そこで生まれたのが「局所集塵」という考え方です。局所集塵とは、各工程で独立した集塵機を使用する集塵方法で、集塵箇所ごとに適切な能力の集塵機を配置するため、すべての工程で十分に集塵することができます。

局所集塵を採用するメリットはそれだけではありません。小さな異物となると、発生源を視覚では特定できませんが、想定される発生源ごとに集塵機を設置すれば、集塵結果から発生源を特定することも可能になります。

局所集塵を実現した小型集塵機

メリットの多い局所集塵ですが、その実現には問題がありました。集塵機を工場内に設置するためのスペースが必要となったのです。集塵機の小型化が解決策となりますが、単に小型化したのでは、集塵能力が不足してしまいます。そこで、ブロアやフィルタといった部品を特別に設計することで、小型で高性能な集塵機が誕生しました。

ここで、小型集塵機の使用イメージを簡単に紹介します。チコーエアーテックの小型集塵機は大きく「高圧型集塵機」と「風量型(低圧型)集塵機」に分けられます。

高圧型集塵機:付着前または付着後の粉塵を高静圧で掃除機のように集塵

液晶パネル表面のパーティクル除去

フィルムの上下左右の微粒子の集塵

風量型集塵機:浮遊する粉塵を換気扇のような風の力で集塵

梱包前の携帯電話の表面に付着した異物の集塵と除電

ハードコンタクト研削加工時の浮遊粉塵除去

小型集塵機の導入による副次的効果

小型集塵機による局所集塵は、品質改善以外にもメリットがあります。まず、生産ラインの変更に短期間で対応できます。生産ラインを変更すれば、同時に集塵箇所も変更になります。全体集塵の方式では配管工事を伴いますが、局所集塵の方式では集塵機を移動させるだけで済み、集塵機も小型で軽量なため移動も簡単です。

全体集塵の現場で作業工程や作業場所が変化すると、集塵が不可能になったり、無駄が出る等の問題が発生します。大型集塵機は変化に対応するのが困難です。

小型集塵機による局所集塵であれば、作業工程や作業場所が変化しても、必要な場所、必要な能力で集塵が可能です。

さらに、他の装置に組み込むことも可能で、省スペース化に貢献することができます。

小型であるため、装置に組み込んで使用することができます。